
損切りとは、値崩れなどによって利益が見込めなくなった在庫を、赤字(損失)を受け入れて相場の価格で売り、資金を回収することです。株式投資から転じた言葉で、せどり・eBay輸出では「抱え続けるより、損を確定してでも資金を次の仕入れに回したほうが得」という判断を指します。
損切りが必要になる理由
売れない在庫を持ち続けることには、目に見えないコストがかかります。仕入れ資金が在庫に固定されて次の仕入れができなくなり、在庫回転率が下がります。保管場所もふさがり、時間がたつほど商品の状態や需要が悪くなることもあります。
「いつか相場が戻るかもしれない」と塩漬けにした在庫は、多くの場合不良在庫(デッドストック)になります。損切りは、この悪い流れを自分の判断で断ち切るための手段です。
損切りの判断基準
- 販売期間で区切る: 「仕入れから◯か月売れなければ値下げを始める」のように、仕入れた時点で撤退の線を決めておきます。線を決めるのは仕入れのときで、売れ残ってから考えると判断が甘くなります
- 相場の動きの理由を見る: 競合の一時的な安売りなのか、需要そのものが落ちた値崩れなのかを見分けます。前者なら待つ余地があり、後者なら早いほど損失は小さくなります
- 回収した資金の使い道で考える: 「この在庫を現金に戻したら、その資金でもっと回転のよい商品を仕入れられるか」という、ほかの使い道と比べる見方(機会費用)で判断します
持ち続けた場合と比べる計算
損切りするかどうかは、「今売った場合」と「持ち続けた場合」を同じ期間で並べると判断しやすくなります。計算を分かりやすくするための数字で比べます。
- 仕入れ値10,000円の在庫が、今なら手数料と送料を引いて8,000円で回収できる(損失2,000円)
- 回収した8,000円で、1か月で売れて1割の利益が出る商品を仕入れ直せる場合、3か月回すと利益はおよそ2,400円になる
- 同じ3か月を待って元の在庫が10,000円で回収できても、利益はゼロ
3か月後の手元の資金は、損切りした場合が約10,400円、待った場合が10,000円です。この例では、今の損失2,000円を確定しても、資金を回したほうが多く残ります。実際には次の商品が思いどおりに回るとは限らないため、自分の過去の販売実績から回転の期間と利益の割合を置いて計算します。利益がゼロになる価格の出し方は損益分岐点を参照してください。
値下げの進め方と売り方
- 段階的に下げる: 損切りは価格改定で段階的に進めるのが基本です。一度に投げ売りせず、売れる価格を探りながら下げます
- 下げる幅と間隔を決めておく: 「2週間ごとに1割下げる」のように決めておくと、判断のたびに迷わずに済みます
- 売り方を変える: 値下げで動かない場合は、出品形式を変えて相場を確かめる、ほかの販路に出す、関連商品とまとめて売るなど、価格以外の手も検討します
同じ商品を多く積んでいる場合(縦積み)は、全数を同じ価格で抱え続けるより、一部を早めに損切りして資金を戻す考え方もあります。
切る判断を資金の付け替えとして扱う見方は、動かない在庫が止めている資金で解説しています。
値崩れ・不良在庫との違い
- 値崩れ: 相場が下がる現象です。損切りを考えるきっかけになります
- 不良在庫: 売れずに残った在庫の状態です。損切りの対象になります
- 損切り: 値崩れや不良在庫に対して、損を受け入れて売ると決める判断です
損切りの記録を次の仕入れに生かす
- 商品ごとに仕入れ値・仕入れ日・想定していた販売価格を記録し、撤退の線に達したかを機械的に判定できるようにします
- 損切りした商品と理由(相場の読み違い、仕入れ過多、状態の見落としなど)を残し、同じ仕入れの判断を繰り返さないための材料にします
損切りの上手さは、仕入れの上手さと同じくらい損益を左右します。在庫ごとのデータが手元に揃っているほど、感情に流されずに撤退を決められるようになります。
執筆・監修: Trade Force 運営チーム